ローヌ北部のカジュアルワイン
サン・ジョセフはローヌ北部、ローヌ川右岸の南北約50キロメートルにわたり広がる。北部では対岸のクローズ・エルミタージュに次ぐ広さの生産地区で、栽培面積は約1220ヘクタール。
多種多様なスタイルを持つワイン
ローヌ川からの反射熱により良いぶどうが育つ環境にあるが、乾燥した北風のミストラルのひょう被害などもあり、栽培には注意を払う必要がある。広いAOCであるため、北部と南部では気候が異なり、北部は半大陸性気候であるが南部はより穏やかで、地中海の影響を受けている。
土壌は花崗岩質。斜面の傾斜が急で、起伏激しい畑が多いが地域によってムラがあり、日照量や水はけも大きく異なる。そのため同じサン・ジョセフでも多種多様なスタイルのワインがあり、品質にもばらつきが大きい。
選ぶ際は畑をしっかり管理している良い造り手のワインを選びたい。
シラー主体の赤ワイン
生産されるワインはシラー主体の赤ワインがほとんど。90%以上のシラーの使用が義務付けられ、10%まで白ぶどうであるルーサンヌ、マルサンヌの混醸が認められるが、実際にはシラー100%で造られることが多い。
外観は深みのあるルビー色で、すみれやチョコレート、バニラなど甘く香ばしい香りが広がる。味わいはシラーならではの力強いしなやかさが特徴的。価格も手頃なため、カジュアルにローヌ北部のワインを味わうのに最適である。相性料理は肉料理、鶏レバー、ビーフシチューなど。
フレッシュさを味わう白ワインも
全体生産量の約1割を占める白ワインはルーサンヌとマルサンヌから造られる。味わいは爽やかで優しく、フレッシュさを味わえる若飲みが適している。相性料理は野菜料理やオイル系のパスタ、和食など。